ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2019-01-01から1年間の記事一覧

おしらせ。

話の骨組みに歩きながら肉をつけていたら不要な厚みが出ています…とゆう感じでとっ散らかっていてなかなか話が進まず、いつの間にか年末でした。 もっとさくっといくはずだったんだけどなぁ…と思いつつ、元々の骨組みは壊さず進めているつもりです。 ここま…

エマナク 44

「どんな…? 言ったでしょう、"造られた人形のようなもの"と。貴方には魔術式の失敗で余計な負担もかけたから出来る限り明確な答えを返したいところだけれど、それ以上何を答えたらいいのかしら…?」 「…人形、とゆうのは命を持たない物ではないのですか…? …

エマナク 43

「何かワタシの顔についている?」 いたずらっぽく口角をあげたアロースは二人を等分に見て言うと、台に張られた糸のような物の内の一本をぴんと弾き、カティーナの短くなった髪を見上げ『貴方はどこから来たのか判らないヒトね』と言いながらまた外に目をや…

エマナク 42

店を抜けた先、階段のある通路を挟んで向かい側の部屋の扉は壊れているのか、それともわざと外してあるのか、壁に埋め込まれた木枠と上部の飾りだけを残した状態で、奥のキッチンやダイニングにあたるのだろう部屋が見通せる。 階段を上がるアロースに続きな…

エマナク 41

アロースの店の入り口、開かない扉を何度か叩き、カティーナは空を見上げる。 「このお店なのですが、扉も開きませんし、すぐ向こうに誰かがいる気配も無いようです…!」 視線の先には細い路地に入ることが出来なかったのか、隣の建物の上から覗き込むように…

エマナク 40

「"外"に出てぇならまずはなるだけ薬に頼らなくてもいいようにならねぇとなぁ。あとはそのままのなりで俺らをぶっ倒せればゆうことなしだ」 苦い顔をごまかすようにそう言ったトレローは今度は掴むような形でナティーフの頭に載せた手に力を込めた。 鎧姿の…

エマナク 39

『だぁっははははは!!』と周囲を震わせ笑い、強く腿を叩いたトレローはシャトに"顔を寄せろ"と手で招き、髪を掻き回す様にわしわしと撫でる。 「あの餓鬼が傭兵団の頭領か! 人間はまだまだ餓鬼だと思った明日にはよぼよぼになると思ってはいたが、そうか…

エマナク 38

「…全部ある…」 並べられた物を見下ろしてナティーフは、固い表情のままそう呟いた。 シャトは何も言わず、小鬼達も興味深そうに四方から覗き込んでは居るものの口を開くことはなく、奇妙な沈黙の中、一本の枝に手を伸ばしたナティーフは『これ、もう少しあ…

エマナク 37

「初めは本当に入口の近くの二部屋と二階の一部屋だけの小さなお家で、それで十分足りていたはずなのよ? でも私の為に集めた品が増える度に建て増しをするのを見ていたものだから、私だけになってからも何だかそうしなきゃいけない様な気がしてしまって。そ…

エマナク 36

シアンの背を妙な物を見るとゆう様に見送った小鬼はシャトに向かって『あの嬢ちゃん、何かされたのか?』と尋ねたが、シャトは"分からない"とゆう意味を込めて首を横に振る。 「お前さんはミミズ娘の事知んねぇのか?」 "ミミズ娘"と言われてシャトはアロー…

エマナク 35

マチルダとトゥエリに見送られ広場へと戻った二人、数人の酔っ払いを除き、広場に広がっていた料理や椅子、木箱はあらかた片付いていて、小鬼と重鎧は片付けの邪魔にならないように場所を移したのか舞台のそばに立っている。 そちらへと近づきながら広場を見…

エマナク 34

シアンが扉を開けるなり『お疲れ様でした』と手に乗るほどの綿の塊に指を一本突っ込んだ格好で振り向いたトゥエリが微笑んで言い、シアンは『トゥエリこそ』とほぼ半分に分けられた綿の塊を見てこめかみを掻いた。 「疲れてるだろうから明日頼もうと思ってた…

エマナク 33

シャトが舞台の裏に回り込もうとした時、その腕が突然掴まれ、反射的に手甲から針を出す時の動作が出たが、舞台の為だけに着替えたシャトの腕には何もついてはおらず、そのまま押さえ付けられるように壁に背中をつく。 「さっきの吐息も良かったけど、ほんの…

エマナク 32

「いや私は…」 「何だ飲まねぇのか…」 どん、と酒瓶を下ろした小鬼の"興が削がれた"とでも言うかなような視線にシアンはその場を離れ、先程まで座っていた椅子に戻ると頬杖をつき、黙って二人を眺めながら手近な酒瓶に直接口をつける。 観客の半数ほどはまだ…

エマナク 31

「…シアンさん」 「あ、シャトよかった、無事? 鎧も?」 「無事です」 「とりあえずよかった」 シアンはマチルダが駆け出したと同時に飛び上がったシャトが勢いよく舞台の上を横切ったオーリスに掴まり、火球へと向かって疾走していくのははっきりと捉えて…

エマナク 30

「アーク! 壁っ!!」 男の火球が巨大化するのを認識した瞬間、マチルダは叫ぶと同時に舞台を蹴って駆けだし、ありったけの魔力で自分の前方に水で覆われた氷の盾を掲げて観客と火球の間に位置をとる。 舞台に膝から崩れ落ちた様に見えたアーキヴァンだった…

エマナク 29

三人が舞台の中央に集まると、昼にも演じていたようにシアンの二本の短剣、シャトの長剣、マチルダのレイピアの打ち合いが始まるが、昼と違うのは打ち合いに合わせて吹き上がる炎の他、それぞれの剣を蛇のように這う炎が薄闇の中にその軌跡を浮かび上がらせ…

エマナク 28

「シアンさん、マチルダさん」 大きな荷物を抱えてこちらへとやってくるのは水鏡で出会った少年で、声に振り返ったシアンはひらひらと手を振る。 「トゥエリ、今行こうと思ってたんだけど…」 「全部持ってきました」 「頼んどいてこんなん言うのはなんだけど…

エマナク 27

「大丈夫みたいだな」 「ありがとうございました。とりあえず問題は引っ掛けて破かないかとゆう事ですが…」 「私も気をつけるわ。昼はどうにかなったけど、夜もうまくいくかねぇ…」 「うまくいくように努力しましょう」 強く振ったレイピアの先がぶれること…

エマナク 26

「どっちも同じ糸なんだろ?」 「どうなんでしょう、国の方では赤い糸は採れないようですし、これほど糸の質が揃っているというのも高値がつく一因でしょう。白い糸より更に丈夫で、魔力への耐性もこちらの方が高いみたいですね」 「なぁ! シャト! これっ…

エマナク 25

「戻りました」 マチルダから借りた袖をシアンが眺めて引っ張って明かりに透かしてとしているうちに扉が開き、籠一杯の花を抱えたシャトが姿を見せた。 「お帰り。大丈夫だった?」 「カティーナさんを困らせないようにと言ってはきましたが、本を読んでもら…

おしらせ。

胃腸炎がはやっているらしいです。 各ゆう私も姉家族を介していただきまして、ダウンしています。 回復するまでお休みします。 割とつらいので、皆様もお気を付けください。

エマナク 24

空が茜色に染まり、街の賑わいは徐々に昼間とは違う夜特有の、どこか浮ついたようなものへと変わりはじめる。 街の住人の往来は減り、旅人が中心となるその賑わいの中には言い争うような怒鳴り声も混じっているが、舞台の裏手からすぐの建物の一室では、その…

エマナク 22

「皆さんすごいですね…丸一日もなかったのにあれだけのことをきちんと見世物としてやってしまうなんて…」 観客の中を回り、沢山の硬貨が投げ入れられた籠を提げて舞台の裏手へとやってきたのは水鏡で出会った少年で、空から同じように籠を提げた鳥達が下りて…

エマナク 21

エマナクのほぼ中央の広場、大きな塔を背にした木製の舞台を囲むように置かれたいくつもの長椅子はちらほらと空きが見えるものの、通り掛かりに足を止めたらしい者達もいて、今は誰の姿も見えない舞台の周囲は割と賑わっている。 まだまだ高い日を浴びて、舞…

エマナク 20

差し出されたはぎれに目を落としたマチルダは『あぁ…』と何かに納得したような声を出し、一通り目を通した後で 「すみません、私もこうゆうものはあまり」 とシアンをまっすぐに見て頭を下げる。 シアンが差し出していたのは街道から外れた土地での鉱石や植…

エマナク 19

「北へ向かう道の途中にいくつか洞窟があるのですが、つい最近立て続けに崩落が起きて通れないんだそうです。復旧出来るかどうかもわからないとのことでしたのでここまで」 少年の後ろから地図を見上げたシアンは『災難だったな』と言いながらエマナクから西…

おしらせ。

(何もなしでちょくちょくお休みがありますが、) (昨日)今日明日はお休みです。 これのせたっけかな…。

エマナク 18

「えぇ。そのようです」 「あんたの子じゃないのか」 「違います」 人と話すことが苦手とゆう風には見受けられなかったが、男はシャトに答えるにも、それに続いたシアンに答えるにも最低限の事しか口にしない。 「センセ、ヒワナ帰った。もう少し居るように…

エマナク 17

「おまっ、暴れるなっ、っいっ…! 噛むんじゃねぇっ!!」 シアンの姿を見失ったカティーナ達は聞こえて来る声を頼りに路地を辿り、いくつ目かの角を曲がったところで子供の首に腕を回して抱えるように座り込むシアンを見つけた。 「何をしているんですか」 …