ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

北の街へ

北の街へ 7

シアンが戻って来るのを待って、シャトはリュックの口を大きく開き、『おいで』と声をかけた。 するとリュックがもぞもぞ動き、中から白い塊がシャトの胸の辺りを目掛けて飛び出して来る。 ビロードのような質感の、真っ白い大きな大福のようなものがシャト…

北の街へ 6

洞窟の中で夜明けを知ることは出来ないが、ちょうど空が明るんできた頃、シャトが目を覚ました。 オーリスは鼻を鳴らしシャトに頭を擦り付け、シャトもそれに応えて頭を撫でる。 隣に座っていたシアンはいつのまにか横たわり、オーリスの脇腹に半分埋もれる…

北の街へ 5

それからしばらく歩き、さすがに疲れてきたらしいシアンを心配してシャトがオーリスに乗るように促したが、自分だけそうゆう訳にも行かないだろうと、シアンは断り結局全員が歩いている。 「シャトも普段からいつもオーリスに乗ってるって訳じゃないんだな」 …

北の街へ 4

「えっと…北にはイマクーティの街があります。人は殆ど住んではいません」 「イマクーティって、何だっけ? 聞いたことある気はするんだけど…」 シアンは腕を組み天井を見上げるようにしながら歩いているが、足元はその程度の事で転ぶほど荒れていない。 「イマク…

北の街へ 3

食事を終えた三人はオーリスの先導で洞窟に向かっていく。 崖のそばへ寄るにしたがって、辺りの空気が冷たくなった。 「なんか、急に寒くなったな…」 普段なら辺りがどれだけ寒くても自身の魔力で体温を保つ事ができるシアンだが、今はそうしていない。 ナガコ…

北の街へ 2

それまで誰も口を開かなかったが、森を抜け視界が開けるとシアンが先を行くシャトに聞こえるように大きな声で尋ねる。 「あの山、越えるのか?」 「いいえ、山を越えることは出来ないんです。山全体が竜の巣ですから、侵せば無事ではすみません」 肩越しに答…

北の街へ 1

立ち入るだけで怒りをかうと言われる精霊の住処の近くやファタナの林、薬草の宝庫だとゆう深い森、シャトの案内で一帯をずいぶん見て回った。 キリオを迎えに行くジーとはしばらく前に別れ、今はまた三人と一匹だ。 間もなくシャトの家が見えてくるとゆうと…