ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

おしらせ。

胃腸炎がはやっているらしいです。 各ゆう私も姉家族を介していただきまして、ダウンしています。 回復するまでお休みします。 割とつらいので、皆様もお気を付けください。

エマナク 24

空が茜色に染まり、街の賑わいは徐々に昼間とは違う夜特有の、どこか浮ついたようなものへと変わりはじめる。 街の住人の往来は減り、旅人が中心となるその賑わいの中には言い争うような怒鳴り声も混じっているが、舞台の裏手からすぐの建物の一室では、その…

エマナク 22

「皆さんすごいですね…丸一日もなかったのにあれだけのことをきちんと見世物としてやってしまうなんて…」 観客の中を回り、沢山の硬貨が投げ入れられた籠を提げて舞台の裏手へとやってきたのは水鏡で出会った少年で、空から同じように籠を提げた鳥達が下りて…

エマナク 21

エマナクのほぼ中央の広場、大きな塔を背にした木製の舞台を囲むように置かれたいくつもの長椅子はちらほらと空きが見えるものの、通り掛かりに足を止めたらしい者達もいて、今は誰の姿も見えない舞台の周囲は割と賑わっている。 まだまだ高い日を浴びて、舞…

エマナク 20

差し出されたはぎれに目を落としたマチルダは『あぁ…』と何かに納得したような声を出し、一通り目を通した後で 「すみません、私もこうゆうものはあまり」 とシアンをまっすぐに見て頭を下げる。 シアンが差し出していたのは街道から外れた土地での鉱石や植…

エマナク 19

「北へ向かう道の途中にいくつか洞窟があるのですが、つい最近立て続けに崩落が起きて通れないんだそうです。復旧出来るかどうかもわからないとのことでしたのでここまで」 少年の後ろから地図を見上げたシアンは『災難だったな』と言いながらエマナクから西…

おしらせ。

(何もなしでちょくちょくお休みがありますが、) (昨日)今日明日はお休みです。 これのせたっけかな…。

エマナク 18

「えぇ。そのようです」 「あんたの子じゃないのか」 「違います」 人と話すことが苦手とゆう風には見受けられなかったが、男はシャトに答えるにも、それに続いたシアンに答えるにも最低限の事しか口にしない。 「センセ、ヒワナ帰った。もう少し居るように…

エマナク 17

「おまっ、暴れるなっ、っいっ…! 噛むんじゃねぇっ!!」 シアンの姿を見失ったカティーナ達は聞こえて来る声を頼りに路地を辿り、いくつ目かの角を曲がったところで子供の首に腕を回して抱えるように座り込むシアンを見つけた。 「何をしているんですか」 …

エマナク 16

「アロースさんは…何、者、なのでしょうか…」 「…私にも判りません。でも…悪い方、では、なさそうでしたね…」 路地にさしかかる毎にシアンの姿を探し、辺りを見回しながら、言葉を選ぶようにぼそっと口にしたカティーナは、シャトの答えを聞いて何故か安心し…

エマナク 15

テーブルの上に転がった三つの塊、指の先についていた筈のそれは、滑らかな爪から薄い桃色が透けて見えているのにもかかわらず一切血に染まることなく、精巧に作られた模型でもあるかのようにただそこにあった。 目の前で誰かが自分の指を切り落とす等とゆう…

エマナク 14

「名前、聞いていなかったわね…」 シアンが出て行った扉が閉まるのを待ってそう言ったアロースは"尋ねてもいいかしら?"とシャトに目で尋ね、シャトは一瞬間をおいてから静かに名乗った。 カティーナがそれに続くとアロースはカティーナの顔を覗き、シャトを…

エマナク 13

「不思議な手触りだな…この赤って何で染めてあるの?」 シアンは差し出された布先に触れ、極々細い糸で織られた柔らかでさらっとしたその肌触りを確かめながらシャトに尋ねるが、シャトは首を横に振る。 「染めていません。この糸は初めからこの色なんです。…

エマナク 12

「ぅふふ♪ お帰りなさいシアン」 「近寄るなよ! …荷物、あの額は払えないが出来れば買い戻したい。交渉に応じる気は…ないとは言わないよな?」 シアンが扉を開くなりつつっと近付き抱きしめようとする女から飛びすさったシアンは、顔を引き攣らせながらやや…

エマナク 11

「…まぁ、そんな感じだから」 女については話したくないのか、かなりはしょった話ではあったが、シアンは続けて『出来れば関わりたくない相手だけど、目利きだけは確かだから』と言って、カティーナに顔を向ける。 「どうする? 手放せない物があるならもう…

エマナク 10

「でもあれはあなたの荷物じゃないわよね? うちに商品を下ろしてくれている店からあの荷物が届いた時のワタシの気持ちがわかる? 大好きな"おもちゃ"の匂いに思わず…」 そこからつかつかとシアンに歩み寄りながら早口に、そしてずいぶんと思いが強いのか長…

エマナク 9

「えっ…盗まれたって…?」 森に戻った二人を微笑んで出迎えたシャトは、手と口をベタベタにしたイミハーテを膝に載せ、熟れて柔らかくなった果実を潰したものをゆっくりと掻き混ぜながら煮詰めていたが、シアンがどっと腰を下ろしながら『カティーナの荷物が…