ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

プロローグ

市の立つ街 3

シャトはいくつかの魔石を女将に渡し、リュックから大きな肩掛けの袋と細かい文字の並んだメモを取り出した。 リュックを荷車に置くとオーリスのそばまで寄って『今日は一緒に行けないから、いい子で待っててね』と抱きしめる。 「これ、お願いね」 女将から…

市の立つ街 2

『ありがとうございます』と言いながら受け取ったグラスの冷たさに目を細め、シャトはグラスに頬を寄せる。 「よく冷えてるわよ」 「あ、すみません…いただきます」 ちょっと困ったように微笑むシャトの声に合わせてまるで挨拶をするようにオーリスが頭を下…

市の立つ街 1

草原と畑に囲まれた街が見える。 日の出からまだそれほど時間は経っていないが、街のあちらこちらから賑やかな声が聞こえてくる。 8番目の月、2度目の大地の日、今日は月に1度の大市が立つ日だ。 街の外れを、牛と同等かそれをこえる程に大きな白兎が、荷車…