ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2019-03-24から1日間の記事一覧

市の立つ街 2

『ありがとうございます』と言いながら受け取ったグラスの冷たさに目を細め、シャトはグラスに頬を寄せる。 「よく冷えてるわよ」 「あ、すみません…いただきます」 ちょっと困ったように微笑むシャトの声に合わせてまるで挨拶をするようにオーリスが頭を下…

市の立つ街 1

草原と畑に囲まれた街が見える。 日の出からまだそれほど時間は経っていないが、街のあちらこちらから賑やかな声が聞こえてくる。 8番目の月、2度目の大地の日、今日は月に1度の大市が立つ日だ。 街の外れを、牛と同等かそれをこえる程に大きな白兎が、荷車…

伝承

世界はガラスに閉じ込められた気泡のようなものだと誰かが言った。 何者かが生きる星とそれを囲む無限の宇宙(そら)、それを1つの世界とするならば、見えない壁の向こうには、ガラスに例えられた、全ての素となる魔力の海が、無数に存在する世界を隔て満ち…