ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

おしらせ。

不調続きですでに何日か空いてますが二、三日お休みします。 話はとっ散らかるし大変だ(ノ∀`)アチャー

ある魔術師の記憶 9

「その顔は何?」 わざわざ魔術が使えなかったなどと口にした相手に対して、自分のことを知られているのだろうか、だとすれば先生もずっと知っていたのだろうか、とぐるぐると廻る考えに僕は黙り、そうしているうちに一度は止まった涙があふれて来た。 「…う…

ある魔術師の記憶 8

人にぶつかっても足を止めず、謝りもせず。 塔を駆け降り、行き先さえ解らないままただ街から離れるように走り続けた。 自分が何を感じているのかを理解したくなくて走りながら意味もなく『…世界は光に満ちていた…光の中に力が…』と世界の成り立ちと云われる…

ある魔術師の記憶 7

人形の中の精霊はその言葉に答えることはなく、もしかしたら見間違いなのかも知れないけれど、微かに、本当に微かに微笑んだように見えた。 どこか悲しそうに、それでいて優しく…。 「…あ…っ」 "ありがとうございました"と、精霊の意思か魔術師の指示かは判…

ある魔術師の記憶 6

それから先生の葬儀の日までの事はあまり覚えていない。 二日後、街に帰った先生の遺体は一度家に安置された後で街の外れの塔へと運ばれ、慣習通り、その日の日没とともに荼毘に付された。 高い塔の上、篝火のたかれた祭壇、魔力の無いものは花や果実を手向…

ある魔術師の記憶 5

それは乱雑な覚え書きもそのままの、資料と呼ぶには粗の目立つ文字列だったが、その分その場の空気が生々しく伝わる、夥しい数の試行錯誤の記録。 読みはじめたその時には気がついていなかったが、記された文字には魔術師特有の"自分だけが解かるように創ら…

ある魔術師の記憶 4

先生が家に訪ねてきたのはそれから四日後の事。 姉に取り次がれて部屋着まま寝癖のついた髪を押さえ居間へ顔を出すと、先生の隣にどこかで見たような後ろ姿が並んでいた。 「…おやおや、ずいぶんと萎れてしまいましたね、果物ではなく精のつく物を持ってくる…

ある魔術師の記憶 3

「…人じゃない…」 逆光の中、目で追っていた先生の横に立つ姿、生き物でありながら波を立てないなんて、と思って見ていたけれど、実際はただの"くぐつ"、魔動人形にたいして"魔導"人形とも呼ばれるものだった。 ただ、それは今まで目にした中で一番人に近い…

ある魔術師の記憶 2

"普段と比べて"だから初めて見た相手では判断できないのだけれど、"波"は調子がいいと色が濃くなったり見える範囲が広くなったりする。 反対に調子が悪いと色は薄く範囲は狭くなるの傾向があるのだけれど、過去に人はもちろん、魔獣や何かを含めてもまったく…

ある魔術師の記憶 1

昔から、生き物の周りに出る"波"を見ているのが好きだ。 身体の周りで揺らぐその波は発する者によってそれぞれ全く違う見え方をして、色や動き、あと厚みとゆうのか距離とゆうのかは解らないがそれも、紗を一枚纏ったような者もいれば周りを大きく飲み込むよ…

エマナク 45

「その魔術師は子供のころから無気力とゆうのかしらねぇ、他人はおろか自分の身の周りのことにも興味を持たずに、いつも何かを考えているのかただぼんやりしているのか解らないような顔で部屋の隅に座っている、そんな子だったそうよ。エテバスとして生まれ…

おしらせ。

本年もよろしくお願いいたします。 かがみもふ。