ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

おしらせ。

年内もう一話更新しようと思っていたのですが、辿り着けそうにないので本年はここまでと相成ります。 長く休んだ上にぽろぽろと日のあく更新になってしまっていますが、どうにかこうにか、もうしばらく続けて行くつもりです。 あちこちでわかりづらかったり…

ある魔術師の記憶 41

レリオさんの家を訪ねたその日から、精霊と細工師の言葉の通り、寝る以外のほとんどの時間を地下の工房で過ごしはじめた。 工房で本を読み、魔術師が過去に作った魔道具から写し取った式を読み解く事を繰り返す…、そして、自分で式を刻むために魔力を込めよ…

ある魔術師の記憶 40

工房に戻った僕を迎えたのは、しゃがみ込んで壁に背を預けた、あからさまに機嫌が悪く、そのことを隠そうともしない魔術師だった。 ここしばらくは閉ざされていたはずの、道から直接地下へと続く階段の降り口につけられた扉が開け放たれていて、すぐそこにい…

ある魔術師の記憶 39

手紙を読み終えたのか、レリオさんがかさかさと音を立てながらその紙を畳む横で、僕と変わらないか少し年下だろう少女が口を開いた。 「いずれは工房を畳むつもりだと、これまではそうお聞きしていました。…この手紙には貴方が工房を継ぐとまでは書かれていま…

ある魔術師の記憶 38

嘘をつくとゆう事と、フィユリさんの言葉と周囲を満たす気配の間で考えが揺れ、僕は長く黙った後で『どうすればいいんですか?』と口にした。 「嘘を突き通すつもりがあるのね?」 頷いた僕にフィユリさんは小さな声で『ありがとう』と言ったのだけれど、その…

ある魔術師の記憶 37

「出来る?」 「…嘘を、つく、とゆうことですよね…」 「そうよ。でも貴方の為だけじゃない。あの子が自分で考えを整理する時間にもなるはずだから…」これまで知らなかった工房と依頼について、細工師と言葉を補い合うようにしながらフィユリさんは一通りの説明をし…