2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「とりあえず水鏡回るけど、一緒にくるか? 魔石見に行くならあのでかい塔めざせばいいから一人で行っても迷わないだろうし、行けば分かると思うけど」 「実際に使っているところを見てみたいのでシアンさんにお願いしようかと思っていたのですが」 「…。ま…
街道沿いの野営組の騒ぎはそう遅く成らずに収まったが、街の賑わいは夜半過ぎまで続いた。 星の光る夜明け前の晴れた空、辺りは静まり返っている。 南から翼を広げた大きな影が森を横切ったその時だけ、波が伝わるように鳥や動物達がざわめいたが、各組の見…
シアンの話によると騒いでいたのは街道沿いに旅をし、エマナクに立ち寄った者達、その中でもシャト達と同じように宿を取らず、野営をするために森に幕を張っているいくつかの組で、混じり合う中で酒を飲み歌い踊る者達が居れば、力や技を競う者、その勝敗で…
イアティーイのはいった袋をしまい、代わりに砂糖と香辛料を合わせて付け込んだ果実の入った瓶を取り出したシャトは、きゅぽん、と小気味いい音を立てて木で出来た栓を抜く。 口を濯いだカティーナは、一度鼻のしたをこするように手を添えて、すん、と小さな…
ギークは背中にの上で眠るイミハーテを起こさないよう身体を動かさず顔だけでシャトを見上げる。 「疲れない? 何か敷いて下ろすか、幕の中に寝かせるかする?」 小さな声で応えたギークはどうやらそれを断ったらしく、そのまま再び顔を伏せ、目を閉じた。 …
シャト達が向かった森は街からは少し離れていて、所々に明かりは見えるものの夜らしい静けさにつつまれているように見えていた。 しかし南に伸びる街道に近付くにつれ、街の賑わいとはまた別に、森の中からも明るい騒ぎや楽器の音、そしてそれらとはまた違う…
街へと入ったシアンは迷いなく歩みを進め、大通りから大きくそれた路地の中ほど、大きな扉と沢山の"はぎれ"のような物に覆われた壁が目立つ一軒の家の前で立ち止まる。 周囲は民家なのか、窓を閉ざす木の戸から所々明かりが漏れている以外は静かで、既にほと…
日が落ちて既に一時間程立つが、四方から街道の集まる街の中はそこらじゅうで篝火が焚かれ、魔石で軒先を照らした店々からは呼び込みの声が響き、まだまだ行き交う人も多いその賑わいは街の外からでもよくわかる。 街にはその土地でとれる岩や土を材料にした…
砂煙がある程度落ち着いて来るとオーリスとギークはえぐれた地面を埋め戻し、三人の準備が済む間、オーリスの起こす風に乗って空高く舞い上がることを遊びのように繰り返すイミハーテを並んで見上げていた。 シャトはリュックに戻ろうとしたキーナと顔を見合…
キーナは少しだけ、眉間にしわを寄せ顔をしかめるような、そんなそぶりを見せたが、その場から消えることはなく、シャトはそんなキーナを不思議そうに見つめた後で首を傾げた。 するとキーナがシャトの方を向き、ふるふるっと身体を震わせたかと思うとぱっと…
「えっと…すみません…。…おはようございま、す…」 「…おはよう。うん、おはよう」 飛び起きた、といった格好で幕の端、ぎりぎりに寄って眉を寄せていたシアンはシャトと自分と対角の隅へと交互に視線を向けた後で徐々身体の力を抜き、最終的にあぐらをかくよ…
小さな生き物が動く気配は時間とともに静まり、西にもこの場所から判るような動きはない。 夜明け前の白み始めた空を見上げたギークの上で、少し眠そうに瞬きを繰り返していたイミハーテはぱさっと布の動く音に振り返り、にぱっと笑うと大きな翼を広げてギー…
しばらくの間オーリスを抱きしめていたシャトは顔を離すと赤い瞳を見つめ『ありがとう』と微笑み、カティーナの近くまで行き再び頭を下げる。 「ご迷惑おかけしたみたいで、すみませんでした。幕まで張っていただいて」 「いえ、私は何も。ゆっくり休めまし…
「おさまったみたいだな…」 濡れた髪と肩にかかった布が風に吹かれているが、戻ってきたシアンは寒そうな素振りも見せず結界の紐の外でむすっとした顔で襟足の辺りをがしがしと掻いている。 カティーナは何も言わず結界を開き、シアンも黙ったまま中に入ると…
皆様台風での被害はいかがでしたでしょうか。 被害はありませんでしたが、諸事情により昨日今日はおやすみ、明日更新になります。 嵐をまとっているっぽいオーリスの絵がどこかへ行ってしまったので、関係ない絵。 (まだ本編に居ない 人? そのうちでてくる…
夕食の片付けを終え、いつものように結界がわりの紐を張ると、シアンを残して皆火のそばを離れ、オーリスとギークはシャトの眠っている幕のそばに身を伏せた。 「では、お先に失礼します」 「おぅ。おやすみ」 薄い雲が散っているのか、見上げた空では星が瞬…
「さて、シャトは寝ちゃってるけど、オーリス達も何か食べる? オーリスは果物で、イミハーテは草とか葉っぱ…ギークは石なら何でもいいのか?」 荷物を探ったシアンは市場で買ったらしい果物を二つ取り出すと、ナイフで簡単に切って皿に盛り、イミハーテを抱…
森の中は時折風で擦れる枝葉の音に混じって足元で何かが動いてはいるが、姿は見えず、先に進んでも大きな生き物の気配はないようだった。 オーリス達は周囲を警戒することなく、東に向い道は判っているとばかりに比較的木々のこんでいない場所を選ぶように先…
カティーナはシアンの言葉の後で同じように辺りを見回したが、森の中、とゆうものをよく知らないカティーナにはシアンが何を考えているのかが分からなかった。 「シアンさ…」 「じゃん!! じーあーーん! じあ”ん!! しゃん!」 カティーナが口を開きかけ…
「シアンさん、どうしたんですか? 何処までいくつもりです?」 「何人いたかはわかんないけど、表に出てきてた男達とは別にずっと見てる奴が居ただろ? ここで街道外れるのはまずい」 「…。それはシアンさんが嘘ついたからですよね?」 「いや…。まぁ、そう…
「こちらで井戸をお借りすることはできるでしょうか?」 「お前達、西から来たんだろう。ここに来るまでに水場があったはずだが」 「森の中の水場の事でしょうか? そちらには寄ったのですが、その後道に迷ってしまって…」 「迷った…? この日暮れに何処まで…
ここのところ何も書かずにお休みした日があったような気がしますが、眠気に負けて辿り着けなかったりとかしています。 とゆう事で(?)本日はお休みです。 おやすみなさい。
「次の街、そろそろ見えてもいいと思うんだけどな」 日が傾き始め、そろそろ野営がしやすそうな場所を探そうか、とゆう頃、シアンは何処から出したのか、今にも破れそうな古い地図を片手に伸び上がるようにして街の影を探していた。 「街がどうかしたんです…
反応の薄い大きい方の魔獣眺め、首を傾げたシアンは『どっちも雌? いや…女の子?』とシャトを見上げ、手を伸ばして長く垂れたオーリスの耳に触れる。 「いえ、こっちの、子…本当は"子"なんて歳じゃないみたいですけれど、男性です。イミハーテにとってはお…