ノクイアケス

ノクイアケスとゆう世界を舞台にした空想小説。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ある魔術師の記憶 49

「…あの人は私が口にした全てを忘れているわけではありません。きっかけさえあれば徐々に繋がります。…完全に、とは、いかないようですし、新しい出来事ほど曖昧になりやすいようですけれど」 『水が飲みたい』とゆう魔術師の言葉をうけて部屋を出た細工師は、…

ある魔術師の記憶 48

魔術師の瞳は開かれたとはいっても虚ろで、どこに焦点があっているのかも分からない様子らしかった。 魔術師の上でたゆたうフィユリさんの横から顔を覗き込むように首を伸ばした細工師は『分かりますか?』と少しだけ声を張るようにしてゆっくりと尋ね、魔術…